麻痺側に傾かないために
今日は、座っている時に、身体が麻痺側または非麻痺側に傾いてしまう方に向けた自主トレーニングをご紹介させて頂きます。
麻痺の後遺症がある側は、手足だけでなく体幹部分にも麻痺がある為、左右対称の姿勢保持が難しくなり、麻痺側に崩れ傾いてしまいます。
なぜ麻痺側に傾くのか?
施設で車椅子に乗車している方で、傾きを修整するために脇腹にクッションを入れている方も多いのではないでしょうか。
また、ある程度歩行が可能だったり、非麻痺側の機能が高かったりすると麻痺側が崩れながらも、非麻痺側に過剰に体重をかけて、全体として非麻痺側に傾いている方も多くいらっしゃいます。
どちらも、麻痺側の足・お尻で体重を受け止め、丸まったり傾いたりした体幹を伸ばして保持することが苦手になった結果です。
そのような方に、「麻痺側に体重をかけて!」「また傾いてますよ!」と言っても、中々修正できないかと思います。
この座っている時の傾きは、立位・歩行時にも同様に表れますので、周囲に傾きを指摘されたことがある方は是非試してみましょう。
傾き改善の自主トレーニング
そこで今回ご紹介したいのが、ボール操作を行う中での座位バランスの向上を目的とした、
『足裏でボールを転がす』自主トレーニングです。
※つかまらずに座っていられる程度の座位保持能力が求められます。下肢体幹機能により転倒・転落に十分注意して試してみてください。
ポイントは「非麻痺側」の足裏で転がすことです。
やり方
- まず麻痺側の足裏をしっかりと地面に接地させます。
- 背中を離して、骨盤を立て身体を起こす
3.非麻痺側の足裏でボールを前後・左右に転がしたり、円を描くように動かします。また踏み潰すように力を込めます。
非麻痺側が強く踏みすぎてボールから落ちてしまわないように気を付けてください。
体が傾いてしまう方の自主トレーニング(動画)
こちらの動画も参考にしてみてください。
麻痺側の足が軽く踏ん張り、客観的に当初みられた体の傾きが減少するようでしたら、この自主トレはあなたに適しています。
逆に傾きが悪化したり、怖くて手が離せないようでしたら、その方には難易度が高すぎるので不適切です。ボールに足を乗せるのが難しいようなら、非麻痺側の足裏を床上で前後左右に動かすことから初めてみましょう。
リーチ動作練習や体幹トレーニングなどと併用してやってみてください。
※また、この自主トレーニングは痛みある側の足裏をしっかり接地させて、痛みの無い側の足でボールを操作することで、変形性膝関節症等の体重をかけると痛みが起こる整形疾患にも適応となります。
この記事を書いた人:理学療法士 徳田健二