脳卒中発症後に、麻痺側の腕や手の麻痺が重いために三角巾で吊っているって方が、病院やデイケア・デイサービスなどで見られることがあります。白い布を使用した昔ながらの三角巾だけでなく、最近はアームスリングと呼ばれるアイテムをリハビリスタッフが作成し、麻痺側の腕を吊っている方も当施設に来られることがあります。
なぜ三角巾(アームスリング)で麻痺側の腕を吊るのか?
- 麻痺側の肩が痛い
- 麻痺側の腕が重い
- 麻痺側の手の管理が不十分(例えば、寝返ると体の下敷きになるや腕がブラブラして邪魔などの要因が考えられます)
- 心理的な不安 などなど
上記の理由以外にも様々な場面が思い当たると思います。※病院や施設では、本人の体の理由と言うよりは、介助側の介護・管理しやすい理由から三角巾を使用している場合もあります。
三角巾(アームスリング)で、ずっと腕を吊っていることのデメリット
- 麻痺側の腕の関節が硬くなる
- 麻痺側の腕の筋肉が伸びにくくなる
- 麻痺側の腕や手に対する認識の低下
- 麻痺側の腕や手が、活動時に参加出来ない(例えば、お碗を支える、手を机に乗せるなど)
- 三角巾がないと不安になる
- 座っている姿勢が麻痺側へ傾いてしまう
- 立ち上がり動作や歩行時においても傾きや麻痺側の足にて支えにくい状態になる
など色々な影響が考えられます。
そこで考えてほしいことは、脳卒中のリハビリで知ってて欲しいことシリーズ1 https://youtu.be/dKzq3P1F8FM
にてお話させて頂いた手足の麻痺は体幹にも影響を及ぼしていることです。三角巾で吊ることで麻痺側の腕が前へと位置し、肩甲骨が前方へと崩れてくることで麻痺側の体は潰れてしまいます。そのため、潰れた体の下にある足は、重くなりしっかり支えることが出来なくなってしまいます。さらには、非麻痺側までも過剰に使用するようになり、麻痺側はどんどん潰れてしまう方を見かけることがあります。そのため、日常生活でそんな状態を繰り返していると麻痺していない側が頑張ってしまい、より麻痺側の手足は硬くなり、手が開かなくなったりして痛みを伴うなどの最悪な状況にもつながる可能性が考えられます。
このような麻痺側の肩周辺のアライメント不良から麻痺側の腕は重く感じ、吊っていた方が楽だと思い込んでしまうと考えられます。
そこで麻痺側の腕を吊っている方にチャレンジしてもらいたいことは・・・
車いすや椅子に座っている時に三角巾を外してみましょう!
準備するのは、
「クッションや枕!!」
使用方法は、下記の動画をご視聴ください。
三角巾を外してクッションや枕に置くことのメリットとは
- 麻痺側の腕や手の可動性の向上
- 麻痺側の腕や手の認識の向上
- 麻痺側の腕や手の管理能力の向上
- 麻痺側肩関節のアライメント不良の軽減
- 麻痺側肩関節の亜脱臼の軽減
- 姿勢が対称的となり座位保持の向上
- 立ち上がりや歩行能力の向上
などが考えられます。
※徐々に痛みのない範囲で外してみましょう。
あくまで個人差がありますので担当のリハビリスタッフがいる場合は、一度相談した後にチャレンジしてみてください。ご不明な方は、一度脳梗塞リハビリステーション長野まで電話または、ラインにてご相談を宜しくお願い致します。
この記事を書いた人:作業療法士 高坂光彰