夏場はどうして脳梗塞が増えるのか

ここ長野でも30度を超す暑い日がみられています。統計的に冬場の寒い時期には、血管が破れやすくなり、脳出血とクモ膜下出血が起こりやすく、夏場は脳梗塞の発症が多くなる季節です。

理由としては、夏は汗をたくさんかくため、脱水症状になりやすいことが挙げられます。

◆暑くないと思ってエアコンをつけず過ごし、体内に熱がこもり知らず知らずに脱水症状になる。一人暮らしの高齢者が室内で熱中症になるケースが増えています。
◆マスクを着用し、顔面に熱がこもり、体温が上昇することで脱水状態となる。
コロナの影響で、マスクをするのが当たり前になった今、様々な人で起こりやすいと言えます。

様々な要因によって汗をたくさんかくことで脱水状態となると、血液中の水分が不足します。すると

  • 血液の粘度が増し(サラサラ→ネバネバ)、血のかたまり(血栓)ができやすくなります。
  • 水分不足により体内を循環する血液の総量も減少して、血管が詰まりやすくなります。

さらに夏場の身体は、熱を放出しようと末梢血管が拡がり、血圧が低下しやすく、次の方々は特に注意が必要です。

  • 血液をサラサラにする薬を飲んでいる人
  • 高血圧の薬を飲んでいる人
  • 生理機能が低下している高齢者は血圧が下がり、血流が遅くなることで、血管が詰まりやすくなります。

夏場の脳梗塞を予防するには

脳梗塞の発症が多い時期・時間帯は、6月~8月の、就寝中と朝の起床後2時間以内と言われています。夏の就寝中の多汗は脱水になりやすく、血流を悪くする要因になります。起床時には血圧が上昇するため、就寝前・起床後に水をコップ一杯づつ飲むことが脳梗塞予防につながると言われます。適度な水分摂取で脱水を防ぎ、脳梗塞だけでなく熱中症の予防も図りましょう。

脳卒中の予防と対策

脳梗塞を含めた脳卒中の発症には加齢や生活習慣と深くかかわっており、食事や運動、喫煙、飲酒など生活習慣の改善が非常に重要です。食事では塩分や脂質、エネルギーを摂り過ぎない、日常的に適度な運動を行う、禁煙する、過剰な飲酒はしないなど、生活習慣を改善することが、脳卒中、ひいては生活習慣病全般の予防・改善につながります。

併せて「脳血管疾患再発予防と後遺症」もご覧ください。

一般社団法人日本脳卒中学会が定めた「脳卒中ガイドライン2015」では、発症の予防のためには高血圧、糖尿病、脂質異常症、心房細動、喫煙、飲酒、炎症マーカーの7つの危険因子を積極的に管理することが大切とのことです。

脳卒中 予防・克服 十カ条

最後に日本脳卒中協会の作成した『脳卒中予防十か条』と『脳卒中克服十カ条』をご紹介します。

残念ながら、これをやれば脳卒中が発症しない・再発しないという予防法はありません。まずは「就寝前と起床後のコップ1杯の水」から始めてみてはいかがでしょうか?

万が一発症(再発)した際には、早ければ早いほど命を守り、後遺症も少なくなります。コロナウイルスの影響により、軽い症状や一過性の症状の患者さんが感染を恐れて、受診を控える傾向があります。症状や前触れに気づいたら躊躇せず救急車を呼びましょう。

この記事を書いた人:理学療法士 徳田健二

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笑顔の理学療法士 徳田 健二
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