麻痺側の『学習性不使用』という言葉をご存知ですか??

使わなければ機能を失う

引退したスポーツ選手が見るに堪えない体になったり、久しぶりに散歩すると想像以上に息が切れる等、病気のない健康な人でも「使わなければ機能が低下する」ことは、経験的に納得のいく現象かと思います。

学習性不使用

学習性不使用とは、麻痺のある手足を使わない状態が長く続いたことで、使わないことが定着してしまう現象のことです。病気の後遺症で悩む多くの方々は、日常生活を送る為に動く方の手足で代償的な手段を学習することと共に、麻痺がある手足を使わないという選択を学習してしまいます。

脳血管疾患でやっかいなことは、麻痺側の上下肢を使わないことで、筋力や随意性の低下が起こるだけでなく、その麻痺側上下肢の運動機能を司る脳の神経ネットワークが減少してしまい、残存した周辺の機能に乗っ取られてしまうことです。使わなくなった機能は縮小し、逆に使用頻度が増加した脳神経ネットワークはエリアが拡大します。

半球間抑制

更には、脳には「半球間抑制」というメカニズムがあり、動く方の手足を過剰に使用すると麻痺側の手足の働きを脳が抑制するというものです。このことも麻痺側上下肢の改善を妨げる一因となります。

これらは1900年代後半からマーゼニックら様々な研究者が明らかにしたもので、これらの研究が、「脳は使用方法により変化する可塑性に富んだ臓器である」という根拠の一つとなっています。

難しいことを言いましたが、普段の生活の中で麻痺のある上下肢を少しでも使うように意識することが大切だということを伝えたかったのです。まずはご自身の生活を見つめ直してみましょう。麻痺側の上下肢の使用・参加状況の中で、今より少しでも活躍させることはできないでしょうか?

学習性不使用の予防的対策

  • 良い方の手で出来るけど、あえて両手で洗濯物を畳む。
  • 麻痺側の足にいつもより体重をかけて立つ。
  • 良い方の手で過剰に引っ張らないで立ち上がる。
  • テーブルの上に麻痺側の手を置いてTVを観る。
  • 普段とは反対の肘受けに寄りかかる
  • 良い方の手で(ご家族が)麻痺側の手足を擦ってあげる。たとえ動かなくても。
  • 良い方の手で麻痺側の指先から体幹まで、目で見て、良い方で触って・つねって・こすって・叩いて・・・認識を深める。 などなど

もちろん代償動作が起こらないように気を付けて麻痺側上下肢の自主トレの実施も必須です。

自分で毎日実施できそうな生活目標を立て、生活の中で麻痺側を参加させてください。ただし、その方の機能レベルに合わせて、難易度を段階付けていくことが大切で、いきなり難しい課題は避けて、まずは無理なくできる範囲で続けられるものを生活に定着させましょう。

過去に掲載した

「脳梗塞の後遺症による麻痺で、硬くなってしまった腕を緩める工夫」

も参考にしてみて下さい。

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この記事を書いた人 :理学療法士 徳田健二

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笑顔の理学療法士 徳田 健二
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