国民病とも言える「腰痛」の現状とその原因」

2800万人が腰痛

日本人の腰痛持ちは約2800万人いると言われ、国民病ともいえる状況です。その内の85%が原因の特定できない非特異的腰痛です。いわゆる腰痛症と呼ばれるものです。病院では「検査では異常ありません」「骨には異常がありません」「とりあえず痛み止めと湿布を出しておきますので、様子を見て下さい」などと言われることが多くあります。

なぜ腰の痛みが起こるのか?痛みの3大原因

 腰痛が起こる原因は「動かなすぎ」「使いすぎ」「硬すぎ」の3つのどれかであることがほとんどです。

・「動かなすぎ」による腰痛とは、同一姿勢によるものです。良い姿勢であろうと、楽な悪い姿勢であろうと、同じ姿勢を続けていたら腰痛になるというものです。

・「使いすぎ」による腰痛とは腰の負担が増加した時に起こるものです。引っ越しで重い荷物を持ったとか、部屋の片づけで一日中立ったりかがんだりしたとかによる、誰にでも経験がある腰痛です。負荷が大きい作業でも腰痛は起きますし、負荷が小さくても繰り返しが続けばやはり腰痛になります。

・「硬すぎ」で腰痛が起こるのは、身体が硬いと腰に仕事が回ってくるためです。腰椎は、他の関節の動きと連動しています。腰椎の上と下にある胸椎、肋骨、仙腸関節、股関節などの可動性に問題があると、その分を腰椎が代償するためストレスがかかり、腰痛になってしまいます。

ね・た・ま・ま ストレッチのすすめ

東京大学医学部付属病院リハビリテーション部の理学療法士である、高見沢圭一氏と山口正貴が考案した「ね・た・ま・ま ストレッチ」をご紹介します。NHKの某番組でも紹介された物です。

深呼吸しながら1ポーズ10秒、3セット(左右なら6セット)を最低1ヶ月続けてみてください。身体の変化を感じるはずです。

黄色い波線部分は伸ばしているところを示します

「ね」 ねじるストレッチ

仰向けになり右ひざを立てて、その右ひざを左に倒して右手は万歳でストレッチ

あお向けになり右膝を立てます。右膝を左に倒し、左手を右膝の上に添え、右腕はバンザイします。決して自分でねじろうとせず、このポーズで脱力し、重力に身を任せて腕や足の重みで自然にストレッチされる感じです。

「た」 タオルストレッチ

仰向けに寝て、両手で持ったタオルで片脚の裏をひっかけて上に持ち上げてストレッチ

タオルを細長く持ち、あお向けでタオルを片足のつま先に引っかけます。その後、膝をまっすぐに伸ばし、腕の力で足を引き上げます。決して自分で足を上げようとしてはいけません。腕以外は脱力します。

「ま」 まげるストレッチ

仰向けになり両膝を胸に抱え込んでストレッチ

あお向けになり両膝を立てます。頭は枕につけたままで、片膝ずつ抱えて、両膝を抱えます。もし可能なら左右の手を組みます。そして軽い力で引き込みます。決して自分で丸まろうとしてはいけません。腕以外は脱力します。

「ま」 まんがストレッチ

うつぶせになって、両肘を床について上体を起こしてストレッチ

うつ伏せになり、肘を立てます。肘は肩の真下にくるようにします。両膝を曲げて両踵をつけます。うつ伏せで漫画や本を読むようなポーズです。最初は肘を立てるだけでも構いません。決して自分で背中を反ろうとしてはいけません。このポーズをとったら脱力するだけです。

注意
※お年寄りや体力に不安のある方、足腰などの関節に痛みがある方は、無理をしないでください。
※ストレッチをやってみて痛みが出た場合は、速やかに中止してください。
※立った状態で前屈、後屈を行った時、痛みの範囲が広がる人は神経のトラブルなどを抱えている可能性があります。その場合は、整形外科などを受診して、医師の指導を受けてください。

正しいストレッチの方法

 ストレッチはちょっと痛い所で止めないといけません。

痛いのを無理やりやれば早く伸びます。

それは筋肉の繊維をブチブチっと切っているからです。

すると柔らかさと引き換えに筋力が落ちてしまいます。「痛いくらいやらないと効果が出ない!」と思っている方が時々いますが、それはオーバーストレッチ(やりすぎ)です。

反動をつけて良いか

 反動をつけると筋肉がちぎれる可能性があります。反動をつけずにちょっと痛みまで伸ばしたら、そのポーズで止まってストレッチするのが安全です。

どれくらいやれば良いのか?

 ちょっと痛い所で止まって、まず10秒。なれて来たら20秒、30秒と増やします。回数については、様々な研究において「3回行うのが良い」です。それ以上やっても効果に大きな差はありません。また、毎日欠かさずやるのと、週3回やるのとでは効果に変わりがありません。ですので、『30秒3セットを週3回』が楽で効果的な方法となります。

タイミングは?

 夜、お風呂上りがベストです。朝目覚めた時は椎間板に水が溜まっており、脊椎の弾力性が低下している為に、朝のストレッチおすすめしません。やるなら軽く、寝たまましましょう。

長続きさせるための工夫

  • 楽しむ
  • ルーティンにする
  • 日記をつける
  • とにかくやり始める

余談ですが、脳は「やろうかな、どうしようかな」「やらないとなぁ」と迷っていること自体がストレスで、考えれば考えるほど脳は疲れて、ますますやる気が削がれてしまいます。

何事も迷いながらやっているものや、考えながらやっているものは長続きしません。

ストレッチや筋トレの習慣がない方やこれまで長続きしてこなかった方は、

「考える前にとにかくやってみる」

です。ぜひ試してみて下さい。

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笑顔の理学療法士 徳田 健二

コラム筆者:理学療法士 徳田健二

参考文献:
東京大学医学部付属病院リハビリテーション部理学療法士 山口正貴 著
姿勢の本 -疲れない!痛まない!不調にならない!  株式会社さくら舎  2018.9発行

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