脳血管疾患という病気を知る

せっかくリハビリを頑張り始めたのに、再発してしまっては元も子もありません。
リハビリと共に生活を変え「最高」の自分をキープし続けるために「病気」と「原因」を知り、しっかりと予防していきましょう。

脳血管疾患(脳卒中)とは

脳の血管が詰まり、その先の血流が途絶えてしまい発症するのが「脳梗塞」
脳の血管が破れてしまい発症するのが「脳出血」「クモ膜下出血」です。
これら3つを総称して脳血管疾患(以下脳卒中)と呼びます。

脳血管疾患(脳卒中、脳梗塞)を原因別に呼称も含めて示したイラスト

脳梗塞・脳出血の種類は?原因は?

脳の血管が詰まって塞がれてしまう原因には「脳血栓症」と「脳塞栓症」があります。


「脳血栓症」(アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞)は脳血管の狭窄部位で血栓(血液のかたまり)が作られ、血管が詰まることで起きます。
そもそも血栓ができる要因として考えられるのは、動脈の血管が硬くなる動脈硬化や、ドロドロ血液などが代表です。


「脳塞栓症」(心原性脳塞栓症)は心臓でできた血栓が流れてきて脳血管を詰まらせることにより発症します。
 塞栓の原因としては心臓疾患(心臓弁膜症や心房細動など)により起きると考えられています。

脳出血(脳梗塞においても)の原因はずばり「高血圧」です。
長年血圧が高いまま放っておくと、脳の血管に負担がかかり続け、ついには破れて血管の外、つまり脳の中に血液があふれ出てしまいます。
脳の中に出血すると脳内出血、脳の外・クモ膜の内側で出血するとクモ膜下出血となります。

脳卒中の発症リスクおよび再発予防策

脳卒中は昭和48年までは死亡原因のトップでしたが、医療の発展と共に現在はがんや心疾患を下回り第4位となっています。

しかし命は救われても、手足などに麻痺が残ることが多い為、介護が必要となった要因の第2位(1位は認知症)となっています。

脳血管疾患(脳卒中)が、日本人の死因別に占める割合を年齢別に示した図。要介護になる原因となることを示した図

はっきりした原因もなく、突然、発作が起こるのはまれで、たいていは脳卒中になりやすい要因や病気を持っている、つまり“下地”のある人に起こる場合がほとんどです。

脳卒中が起こりやすい“下地“とは

  • 塩分、糖分、脂肪の取り過ぎ
  • 喫煙や酒の飲み過ぎ
  • 運動不足
  • 過剰なストレス

などの生活習慣に起因する、いわゆる「生活習慣病」を持っている人、さらには性別、遺伝的な素因、年齢なども脳卒中発生に深くからんでいます。

これらの危険因子を持つ人は、自分が“脳卒中予備軍”と心得て、ライフスタイルを見直して危険因子を減らし、生活習慣病を治療すべきです。それが最も確実な予防法です。

また、脳卒中を起こした人の再発率は、年間5%(10年間の累積再発率は50%以上との報告もあり)と言われており、決して軽視できるものではありません。

再発予防の4本柱は、

①原因となった病気の治療
②生活習慣の改善(誘因を除く)
③薬物療法
④手術

これらが基本になります。
再発の危険性を考えて、脳卒中の“下地”となる危険因子を減らすなど予防対策が必要です。
日頃から、家族とともに脳卒中の症状などについて知り、緊急時にどうするか主治医とよく相談しておきましょう。

脳血管疾患(脳卒中)の危険因子をイラストで示した図
脳血管疾患の危険因子

脳血管疾患の後遺症(脳卒中の症状)

脳卒中は発症後治療しても後遺症が残ることが少なくありません。
脳の細胞がダメージを負うことで、体の麻痺や感覚の障害、発語の歪みや認知症など、様々な後遺症が残る可能性もあります。

脳血管疾患(脳出血、脳梗塞)の症状(後遺症)を症状別にイラストに示したもの
脳血管疾患の症状イラスト
運動麻痺

半身の上下肢が動かなくなる症状。固くなる痙性麻痺とダランと力が入らない弛緩性麻痺があります。

感覚麻痺

触覚や痛覚が鈍くなることや、逆に過敏になり痺れを感じることもあります。関節が曲がっているか伸びているかなどの位置関係がわからなくなることもあります。

構音障害

いわゆる呂律が回らなくなる症状です。

嚥下障害

食べ物を飲み込みにくくなる症状で、場合により鼻から栄養を入れたり、胃瘻を作る必要があります。

目の障害

視野が狭まる「半盲」であったり、物が二重に見える「複視」という障害もあります。

脳血管性認知症

脳細胞がダメージを負うことで生じる認知症です。障害を受けてない部位の機能は残るので、できることとできないことの差が大きい特徴があります。

高次脳機能障害

記憶、思考、言語、行為、注意、自発性、空間認知などの、より高度な機能に障害が起こった状態です。様々な症状があり、周囲の状況に合った適切な行動が選べなくなり、生活に支障をきたすこともあります。

これらの症状(後遺症)は、在宅における日常生活の大きな壁となり、その後の人生に大きく影響します。

病院でのリハビリが終了した後、退院となりますが、そこでリハビリを止めてしまうとそれ以上の回復を望むのは難しいかもしれません。

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