高齢の方をご案内しているとその言葉を聞くことが当たり前になり、お手伝いが必要な場面では、こちらから積極的に発してしまう言葉。
それが「どっこいしょ!」
若い方が、その言葉を発してしまった時には「あー年寄りになっちゃった」と苦笑いや落胆の表情を浮かべる様子が多く見られます。
でもそれは、そんなに残念な言葉なのでしょうか?
『脳科学』の世界では、少し違うようです。(動作を行う場合のちょっとした掛け声について)
効果1:前頭前野の働きを抑えてくれる
いろいろと考え判断したり、アイデアを出したり、何かをする時の「良い悪い」を調整してくれる役割を担う前頭前野は、動作を行う場合に”考える(調整)”を行います。
「どっこいしょ!」はその働きを少し抑え、余計な考えを減らして、運動に集中でき動きを良くしてくれます。
効果2:小脳の働きを活発にしてくれる
運動機能が発達した人間の“体が覚えている動き”は、小脳における運動の無意識化が行ってくれるものです。「よっこいしょ」のかけ声は小脳の働きを活発にし、無意識的な運動がしやすくなり、そのことにより運動性能が良くなります。
脳溢血後のリハビリを行う時にも、動きにくくなり緊張した身体を動かすために、力になってくれるかもしれません。
「どっこいしょ!」不思議な言葉。
人は経験の中から知らず知らずのうちに、運動性能を上げるための「おまじない」の言葉として体得したものではないか?なんて考えると少しワクワクします。(本当の語源は諸説あります)
つい発してまう「どっこいしょ!」
そんな時は落胆せずに、有益な言葉としてもっと仲良くしてもいいかもしれませんね。