装具について考えてみる 

Aさん(ご高齢男性)は壊れていないので十何年も同じ装具を使い続けています。強い痙性麻痺により「内反尖足」が生じています。内反尖足とは「麻痺側の足の甲側が伸びて、足先が内側に返りながら下を向いたまま元に戻らなくなり、足先が尖ったようになる状態」です。それにより足首のベルトがしっかり巻けず、足先が下がって関節拘縮が起きてしまいながらも、リハビリの為に毎日一生懸命散歩なさっています。 

そもそも装具って?

病気やケガなどにより身体の機能が低下したり、失われたりした際に、その機能を補ったり、患部を保護、回復の補助、変形の防止、運動のサポートなどを目的に装着するものです。 

脳血管疾患での適応としては、麻痺した足につける短下肢装具や、麻痺した上肢を下方から持ち上げるアームスリング等が一般的です。多くの方が発症後の身体状況の経過に合わせて、採型して自分に合った装具を作成してもらったのではないでしょうか。 

ここで一考!

「症状が固定し、回復が見込めない」「6ヶ月から1年でプラトー(平坦)」などと言われることも多いのが脳血管疾患の後遺症。
その後の“身体状況”は一定でしょうか。 

月日が経つと、入院して最初に装具を作った頃とは身体の状態が変化していることが多くあります。

・足の太さが変わった
・身体が固くなた
・関節が変形してきた
・痛みが出てきた     当然加齢による変化も・・・。 

今の自分のパフォーマンス向上のために 

装具作成時と現在の身体状況は同じではないはずです。
当然現在の身体状況に合った装具は、現在の身体を詳細に評価して再作成されるべきでしょう。

早い段階で「自身の身体に合っているか」「適切に使用できているか」を相談できていたら、文頭のA様は、今よりもっと楽に散歩できているのではないか思うと残念で仕方ありません。 

装具には種類ごとに(例えば支柱付き短下肢装具で3年、プラスチック製短下肢装具だと1.5年など)「耐用年数」が定められています。耐用年数を過ぎなければ同じ種類の補装具を購入する際、補助を受けられず、全額自己負担となります。装具自体は消耗品です。経年変化で、ヒビが入ったり、ネジが緩んでいたり、ベルトが付きにくかったり、滑り止めがはがれていたりなど、よく見ると様々なメンテナンスが必要だったりもします。 

これを機に、ご自身の装具について今一度考えてみるのはいかがでしょうか?

パラリンピックにおけるパフォーマンス向上に見て取れるように、義肢・装具の技術革新は日進月歩です。改めて装具について見直し、専門の技師の方に相談する中で、リハビリ開始当時にはなかった、効果的で革新的な装具がみつかるかも知れませんね。 

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